実体験

ヘッジ会計の概要

ヘッジ会計の概要
登川雄太
(管理人)

「包括利益の表示に関する会計基準」の改正

平成 23 年 3 月 31 日以後に終了する連結会計年度から適用されている改正前の企業会計基準第 25 号(以下、改正前会計基準)では、連結財務諸表のみ先行して適用されることが定められ、個別財務諸表に対する適用に関しては、その公表から 1 年後を目途に、再度判断することとなっていました。 この点、ASBJ の審議の結果、依然として市場関係者の意?ヘッジ会計の概要 が大きく分かれていること及び個別財務諸表における包括利益に係る主な情報は現状の株主資本等変動計算書から入手可能でもあること等を総合的に勘案して、当面の間、個別財務諸表に同基準が適用されない旨が定められました(改正会計基準 16-2 項)。

2. 計算書の名称

ASBJ では、包括利益に関する計算書の名称の変更に関しても審議を行いました。これは、国際会計基準(IASB)での検討状況を参考に、名称変更の検討の必要性があるという意?を斟酌したためです。 この点、ASBJ は現行の名称が定着しつつあること、IASB が策定した改訂 IAS1 号「財務諸表の表示」では他の名称を使用することも容認されていることなどから、現行の名称(※)を維持することを決定しました(改正会計基準 37-2項)。
(※)

1 計算書方式:「損益及び包括利益計算書」
2 計算書方式:「損益計算書」、「包括利益計算書」

3. 為替予約等の振当処理、金利スワップ等の特?処理と組替調整額等の注記


次に、為替予約等に関する振当処理に関して、会計処理上、繰延ヘッジ損益が計上されるケースは、いわゆる外貨建予定取引が想定されますが、この繰延ヘッジ損益に関しても、一旦期末に計上されるものの、翌期首には洗替えの処?が?われます。 そして、実際の外貨建取引の実行時には、為替予約相場により会計処理されるため、繰延ヘッジ損益に関する会計処理は?われません。 このような点を踏まえて、改正会計基準の「結論の背景」において、「為替予約の振当処?は実務に配慮して認められてきた特?的な処理であること等を勘案すると、組替調整額及びこれに準じた開示は必要ないと考えられる」という表現が追記されることにより、組替調整額の注記が不要であることが明文化されました(改正会計基準 31 項(2))。

4. 適用時期

改正会計基準は、現行の取扱いを変更するものでないことを考慮して、適用時期については、公表日(平成 ヘッジ会計の概要 24年 6月29 日)以後に適用とされています(改正会計基準 16-3 項)。

適格なヘッジ手段と適格なヘッジ対象

ヘッジ会計が認められるのは、 「適格な(qualifying)」ヘッジ対象 が保有する何らかのリスクを、 「適格な」ヘッジ手段 を用いて、 ヘッジ対象とヘッジ手段の間にIFRSの求めるヘッジ関係が存在 するときに認められます。このため、IFRSでは認められない適格ではないヘッジ対象やヘッジ手段である場合、ヘッジ会計を適用することはできません。ここでは、まず、適格なヘッジ手段(qualifying instruments)について解説します。

IAS第39号は、売建オプションの一部を除き、原則として デリバティブだけが適格なヘッジ手段 となります。ただし、 ヘッジ会計の概要 デリバティブ以外の金融資産・金融負債であっても、 為替リスクのヘッジの場合 にのみ 、適格なヘッジ手段 とすることができます (IAS39.72)。また、逆説的な表現になりますが、適格なヘッジ対象に対するヘッジ手段でなければ、適格なヘッジ手段とはなりません。このため、適格なヘッジ対象とはならない企業自身の資本性金融商品(適格なヘッジ対象は後述)に対するデリバティブは、たとえヘッジ目的で行っているものであっても適格なヘッジ手段とはなり得ません(IAS39.AG97)。

(A) 売建オプションの取扱い

企業が売り建てているオプション(written option)に係る潜在的損失は、関連するヘッジ対象の価値における潜在的利得よりも著しく大きくなる可能性があります。すなわち、売建オプションはヘッジ対象の純損益エクスポージャーを減少させるのには有効ではありません。したがって、売建オプションは、買建オプション(他の金融商品に組み込まれているものを含む)に対する相殺として指定される場合(例えば、任意償還可能な負債のヘッジに使用される売建コール・オプション)を除き、ヘッジ手段として適格ではありません。これに対し、買建オプション(purchased option)は損失以上の潜在的利得を有しており、公正価値又はキャッシュ・フローの変動から生じる損益エクスポージャーを減少させる可能性を有するので、ヘッジ手段になり得ます(IAS39.AG94)。

(B) ヘッジの連結上の取扱いと個別上の取扱い

(C) ヘッジの一部指定の取扱い

通常、ヘッジ手段については、その全体について単一の公正価値の測定値があり、公正価値の変動を生じさせる要因は相互依存関係にあります。したがって、 ヘッジ関係は、ヘッジ手段全体について指定 されます。

(i) オプションの本源的価値と時間的価値

(ii) 先物契約における金利要素

(iii) 比例部分の適用

(D) 単一のヘッジ手段による複数の種類のリスクヘッジ指定

(E) 複数のヘッジ手段を共同でヘッジ手段に指定する場合

複数のデリバティブ等(又はそれらの比例部分)を組み合わせで、共同でヘッジ手段に指定することが認められています一部のデリバティブから生じるリスクが他のものから生じるリスクを相殺する場合であっても問題ありません。

4-4.適格なヘッジ対象

・認識されている資産若しくは負債

・未認識の確定約定

・可能性が非常に高い予定取引 ヘッジ会計の概要

・在外営業活動体に対する純投資

⇒これらの 単一 もしくは グループ 。

(A) 連結グループ内取引のヘッジ対象指定

例外として、内部の貨幣性項目(例えば、2つの子会社の間の債権債務)の為替リスクが、IAS第21号「外国為替レートの変動の影響」に従い、 連結上完全に消去されない為替差損益に対するエクスポージャーを生じさせる場合には、連結財務諸表においてヘッジ対象として適格 となります。IAS第21号によれば、内部の貨幣性項目に係る為替差損益は、その内部貨幣性項目が機能通貨の異なる2つのグループ企業の間での取引である場合には、連結上完全には消去されません。

また、発生する可能性が高いグループ企業間予定取引に係る外国為替リスクは、当該取引が取引の当事者の機能通貨以外の通貨によるものであり、 外国為替リスクが連結純損益に影響を及ぼすものである場合には、連結財務諸表においてヘッジ対象として適格 (具体的にはキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ対象)となります。その例としては、次のようなものがあります。

(B) 企業結合における「事業」のヘッジ対象指定

企業結合において 事業を取得する確定約定は、 他のリスクでヘッジの対象となるものを具体的に識別して測定することができないため(一般的に「事業リスク」と考える)、 為替リスクを除いて、ヘッジ対象にはできません (IAS39.AG98)。親会社による子会社への投資、関連会社への持分法投資についても、これらの投資がヘッジ対象となることはあり得ません。これらの子会社への投資や関連会社への投資は、事業損益を認識する形(つまり事業リスク)で行われているため、公正価値変動を認識するものではあり得ないからです。ただし、在外営業活動体に対する純投資は、事業リスクではなく為替エクスポージャーに対するヘッジであるため、ヘッジ対象として指定することができます(IAS39.AG99)。

(C) ヘッジ対象の一部指定

企業はヘッジ関係におけるヘッジ対象のキャッシュ・フロー又は公正価値の すべての変動を指定することも できるし、特定の価格又はその他の変数の上方向又は下方向への変動のみ (片側リスク)を指定することもできます

4-5.金融商品項目のヘッジ対象としての指定

ヘッジ対象が 金融資産又は金融負債である場合有効性の測定が可能 であれば、そのキャッシュ・フロー又は公正価値の 一部分 (1つ以上の選択された契約上のキャッシュ・フローもしくはその一部分又は公正価値の一定割合など) のみに関連するリスク についてヘッジ対象として指定することができます(IAS39.81)。

(A) ヘッジ対象として指定される部分の特徴

(B) 細分化されたリスク及び部分へのヘッジ対象指定

(C) キャッシュ・フロー変動の部分指定

  • 金融商品のキャッシュ・フローの全部を、一部の(しかし、全部ではない)リスクに起因する、キャッシュ・フロー又は公正価値の変動について指定することができる。
  • 金融商品のキャッシュ・フローの一部(しかし、全部ではない)を、リスクの全部または一部のみに起因するキャッシュ・フロー又は公正価値の変動について指定することができる(すなわち、金融商品のキャッシュ・フローの「部分」を、リスクの全部又は一部のみに起因する変動について指定することができる)。

(ヘッジ会計の概要 D) 有効性の測定が可能であるとは

(a) リスクフリー金利又はベンチマーク金利の変動に起因する公正価値変動についてヘッジされている固定金利の金融商品については、リスクフリー金利又はベンチマーク金利は通常、金融商品の独立して識別可能な構成部分であるとともに、信頼性をもって測定可能であるとみなされる。
(b) インフレーションは、独立して識別可能で信頼性をもって測定可能であるとはいえず、下記(c)の規定を満たす場合を除いて、金融商品のリスク又は部分として指定することはできない。
(c) 認識されているインフレーション連動債券(組込デリバティブを区分して会計処理する要求はないものと仮定する)のキャッシュ・フローの契約上特定されているインフレーション部分は、当該金融商品の他のキャッシュ・フローがインフレーション部分に影響されない限り、独立して識別可能で信頼性をもって測定可能である。

4-6.非金融商品項目のヘッジ対象としての指定

ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債である場合には、ヘッジ対象としての指定は、全体をヘッジ対象とするか、為替リスク部分についてのみヘッジ対象とするかのどちらかです 。上項のような金融商品とは異なり、為替リスク以外の特定のリスクに起因するキャッシュ・フロー又は公正価値の変動部分を分離・測定することが困難だからです(IAS39.82)。

4-7.項目グループのヘッジ対象としての指定

類似の資産又は類似の負債は、そのグループ中の個々の資産及び個々の負債が、ヘッジされるものとして指定されているリスク・エクスポージャーを共有している場合にのみ、合算してグループとしてヘッジ対象としなければなりません 。ただし、そのグループの中の個々の項目についての、ヘッジされているリスクに起因する公正価値の変動は、その項目のグループのヘッジされているリスクに起因する公正価値の全体の変動に おおむね比例すると見込まれている必要 があります(IAS39.83)。

なお、企業は、ヘッジの有効性の評価を、ヘッジ手段(又は類似のヘッジ手段のグループ)とヘッジ対象(又は類似のヘッジ対象のグループ)の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を比較することによって行うので、 あるヘッジ手段を、特定のヘッジ対象と比較するのではなく、全体的な純額ポジション(例えば、満期が類似しているすべての固定利付資産及び固定利付負債の純額)と比較することは、ヘッジ会計の要件を満たしません (IAS39.84)。

適格なヘッジ手段と適格なヘッジ対象

ヘッジ会計が認められるのは、 「適格な(qualifying)」ヘッジ対象 が保有する何らかのリスクを、 「適格な」ヘッジ手段 を用いて、 ヘッジ対象とヘッジ手段の間にIFRSの求めるヘッジ関係が存在 するときに認められます。このため、IFRSでは認められない適格ではないヘッジ対象やヘッジ手段である場合、ヘッジ会計を適用することはできません。ここでは、まず、適格なヘッジ手段(qualifying instruments)について解説します。

IAS第39号は、売建オプションの一部を除き、原則として デリバティブだけが適格なヘッジ手段 となります。ただし、 デリバティブ以外の金融資産・金融負債であっても、 ヘッジ会計の概要 為替リスクのヘッジの場合 にのみ 、適格なヘッジ手段 とすることができます (IAS39.72)。また、逆説的な表現になりますが、適格なヘッジ対象に対するヘッジ手段でなければ、適格なヘッジ手段とはなりません。このため、適格なヘッジ対象とはならない企業自身の資本性金融商品(適格なヘッジ対象は後述)に対するデリバティブは、たとえヘッジ目的で行っているものであっても適格なヘッジ手段とはなり得ません(IAS39.AG97)。

(A) 売建オプションの取扱い

企業が売り建てているオプション(written option)に係る潜在的損失は、関連するヘッジ対象の価値における潜在的利得よりも著しく大きくなる可能性があります。すなわち、売建オプションはヘッジ対象の純損益エクスポージャーを減少させるのには有効ではありません。したがって、売建オプションは、買建オプション(他の金融商品に組み込まれているものを含む)に対する相殺として指定される場合(例えば、任意償還可能な負債のヘッジに使用される売建コール・オプション)を除き、ヘッジ手段として適格ではありません。これに対し、買建オプション(purchased option)は損失以上の潜在的利得を有しており、公正価値又はキャッシュ・フローの変動から生じる損益エクスポージャーを減少させる可能性を有するので、ヘッジ手段になり得ます(IAS39.AG94)。

(B) ヘッジの連結上の取扱いと個別上の取扱い

(C) ヘッジの一部指定の取扱い

通常、ヘッジ手段については、その全体について単一の公正価値の測定値があり、公正価値の変動を生じさせる要因は相互依存関係にあります。したがって、 ヘッジ関係は、ヘッジ手段全体について指定 されます。

(i) オプションの本源的価値と時間的価値

(ii) 先物契約における金利要素

(iii) 比例部分の適用

(D) 単一のヘッジ手段による複数の種類のリスクヘッジ指定

(E) 複数のヘッジ手段を共同でヘッジ手段に指定する場合

複数のデリバティブ等(又はそれらの比例部分)を組み合わせで、共同でヘッジ手段に指定することが認められています一部のデリバティブから生じるリスクが他のものから生じるリスクを相殺する場合であっても問題ありません。

4-4.適格なヘッジ対象

・認識されている資産若しくは負債

・未認識の確定約定

・可能性が非常に高い予定取引

・在外営業活動体に対する純投資

⇒これらの 単一 もしくは グループ 。

(A) 連結グループ内取引のヘッジ対象指定

例外として、内部の貨幣性項目(例えば、2つの子会社の間の債権債務)の為替リスクが、IAS第21号「外国為替レートの変動の影響」に従い、 連結上完全に消去されない為替差損益に対するエクスポージャーを生じさせる場合には、連結財務諸表においてヘッジ対象として適格 となります。IAS第21号によれば、内部の貨幣性項目に係る為替差損益は、その内部貨幣性項目が機能通貨の異なる2つのグループ企業の間での取引である場合には、連結上完全には消去されません。

また、発生する可能性が高いグループ企業間予定取引に係る外国為替リスクは、当該取引が取引の当事者の機能通貨以外の通貨によるものであり、 外国為替リスクが連結純損益に影響を及ぼすものである場合には、連結財務諸表においてヘッジ対象として適格 (具体的にはキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ対象)となります。その例としては、次のようなものがあります。

(B) 企業結合における「事業」のヘッジ対象指定

企業結合において 事業を取得する確定約定は、 他のリスクでヘッジの対象となるものを具体的に識別して測定することができないため(一般的に「事業リスク」と考える)、 為替リスクを除いて、ヘッジ対象にはできません (IAS39.AG98)。親会社による子会社への投資、関連会社への持分法投資についても、これらの投資がヘッジ対象となることはあり得ません。これらの子会社への投資や関連会社への投資は、事業損益を認識する形(つまり事業リスク)で行われているため、公正価値変動を認識するものではあり得ないからです。ただし、在外営業活動体に対する純投資は、事業リスクではなく為替エクスポージャーに対するヘッジであるため、ヘッジ対象として指定することができます(IAS39.AG99)。

(C) ヘッジ対象の一部指定

企業はヘッジ関係におけるヘッジ対象のキャッシュ・フロー又は公正価値の すべての変動を指定することも できるし、特定の価格又はその他の変数の上方向又は下方向への変動のみ (片側リスク)を指定することもできます

4-5.金融商品項目のヘッジ対象としての指定

ヘッジ対象が 金融資産又は金融負債である場合有効性の測定が可能 であれば、そのキャッシュ・フロー又は公正価値の 一部分 (1つ以上の選択された契約上のキャッシュ・フローもしくはその一部分又は公正価値の一定割合など) のみに関連するリスク についてヘッジ対象として指定することができます(IAS39.81)。

(A) ヘッジ対象として指定される部分の特徴

(B) 細分化されたリスク及び部分へのヘッジ対象指定

(C) キャッシュ・フロー変動の部分指定

  • 金融商品のキャッシュ・フローの全部を、一部の(しかし、全部ではない)リスクに起因する、キャッシュ・フロー又は公正価値の変動について指定することができる。
  • 金融商品のキャッシュ・フローの一部(しかし、全部ではない)を、リスクの全部または一部のみに起因するキャッシュ・フロー又は公正価値の変動について指定することができる(すなわち、金融商品のキャッシュ・フローの「部分」を、リスクの全部又は一部のみに起因する変動について指定することができる)。

(D) 有効性の測定が可能であるとは

(a) リスクフリー金利又はベンチマーク金利の変動に起因する公正価値変動についてヘッジされている固定金利の金融商品については、リスクフリー金利又はベンチマーク金利は通常、金融商品の独立して識別可能な構成部分であるとともに、信頼性をもって測定可能であるとみなされる。
(b) インフレーションは、独立して識別可能で信頼性をもって測定可能であるとはいえず、下記(c)の規定を満たす場合を除いて、金融商品のリスク又は部分として指定することはできない。
(c) 認識されているインフレーション連動債券(組込デリバティブを区分して会計処理する要求はないものと仮定する)のキャッシュ・フローの契約上特定されているインフレーション部分は、当該金融商品の他のキャッシュ・フローがインフレーション部分に影響されない限り、独立して識別可能で信頼性をもって測定可能である。

4-6.非金融商品項目のヘッジ対象としての指定

ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債である場合には、ヘッジ対象としての指定は、全体をヘッジ対象とするか、為替リスク部分についてのみヘッジ対象とするかのどちらかです 。上項のような金融商品とは異なり、為替リスク以外の特定のリスクに起因するキャッシュ・フロー又は公正価値の変動部分を分離・測定することが困難だからです(IAS39.82)。

4-7.項目グループのヘッジ対象としての指定

類似の資産又は類似の負債は、そのグループ中の個々の資産及び個々の負債が、ヘッジされるものとして指定されているリスク・エクスポージャーを共有している場合にのみ、合算してグループとしてヘッジ対象としなければなりません 。ただし、そのグループの中の個々の項目についての、ヘッジされているリスクに起因する公正価値の変動は、その項目のグループのヘッジされているリスクに起因する公正価値の全体の変動に おおむね比例すると見込まれている必要 があります(IAS39.83)。

なお、企業は、ヘッジの有効性の評価を、ヘッジ手段(又は類似のヘッジ手段のグループ)とヘッジ対象(又は類似のヘッジ対象のグループ)の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を比較することによって行うので、 あるヘッジ手段を、特定のヘッジ対象と比較するのではなく、全体的な純額ポジション(例えば、満期が類似しているすべての固定利付資産及び固定利付負債の純額)と比較することは、ヘッジ会計の要件を満たしません (IAS39.84)。

IFRSにおける金利リスクのポートフォリオ・ヘッジ

企業はある項目の予想金利改定日を、 当該項目が満期になると見込まれる日又は市場金利に改定されると見込まれる日のいずれか早い方の日 として決定します。予想金利改定日は、過去の実績やその他の利用可能な情報(期限前償還率、金利及びそれらの相互作用に関する情報と予想を含む)に基づいて、ヘッジの開始時及びヘッジ期間を通じて見積られます。企業固有の実績がないか又は実績が十分でない企業は、類似した金融商品についての他のグループの実績を用いて見積もります。

<各期間への配分方法>

4-13-4.ヘッジ対象金額の決定、ヘッジ対象の金利リスク

例えば、ある特定の金利改定期間において固定金利資産CU100と固定金利負債CU80を有しているものと企業が予想していて、純額ポジションのCU20のすべてをヘッジすると決めている場合には、金額CU20の資産(当該資産の一部分)をヘッジ対象として指定します。この指定は、個別の資産ではなく「通貨の金額」(例えば、ドル、ユーロ、ポンド又はランド)として表現されます。したがって、 ヘッジする金額が抜き出される資産(又は負債)のすべて(すなわち、上記の例のCU100の資産の全部)が、次のようなものでなければなりません (IAS39.AG118)。

  • 公正価値がヘッジされる金利の変動に応じて変動する項目であり、かつ、
  • 個別にヘッジ対象に指定されていたならば公正価値ヘッジ会計の要件を満たし得たであろう項目であること。

企業がヘッジしたいと考えるポジションが負債金額である場合には、指定されるヘッジ対象を表す金額は、 企業がそれよりも早い期間に払戻しを要求できる負債以外の固定金利負債から抜き出されたものでなければならず 、ヘッジの有効性を評価するのに用いる比率数値は、これらの他の負債の比率として計算されます。例えば、ある特定の金利改定期間において、固定金利負債CU100(要求払預金CU40と要求払の特徴のない負債CU60で構成されている)と固定金利資産CU70を有するものと企業が予想していると仮定する。企業が純額ポジションCU30のすべてをヘッジすると決定する場合には、CU30の負債又は要求払いの特徴のない負債CU30分をヘッジ対象として指定します(IAS39.AG118後段)。

<ヘッジ対象となる金利リスクの決定>

また、 ヘッジ会計の概要 ヘッジ対象の金額だけでなく、ヘッジ対象とする金利リスクも指定 します。このリスクは、ヘッジ対象ポジションの各項目の中の金利リスクの一部分(ベンチマーク金利(例えば、LIBOR)など)でも問題ありません(IAS39.AG114(d))。

4-13-5.ヘッジ方針の文書化要件

(a) どの資産及び負債をポートフォリオ・ヘッジに含めるか、また、それらをポートフォリオから除外するのに用いる基準
(b) 金利改定日を見積る方法。これには、期限前償還率の見積りの基礎となる金利の仮定やそれらの見積りを変更するための基準が含まれる。同じ方法を、資産又は負債をヘッジ対象ポートフォリオに含める時点の最初の見積りと、それらの見積りのその後の修正の両方に使用する。
(c) 金利改定期間の数と持続期間
(d) 有効性判定の頻度及び金利改定日の予想が変動した場合の日有効部分の金額の計算方法の選択
(e) ヘッジ対象として指定される資産又は負債の金額を算定するために企業が用いる方法論、及びそれに従ってIAS第39号に定める方法(IAS39.AG126(b))で企業が有効性を判定する際に用いる比率の数値
(f) IAS第39号で定める方法(IAS39.AG126(ヘッジ会計の概要 b))で企業が有効性を判定する際に、金利改定期間ごとに有効性を判定するのか、全期間について合計で判定するのか、この2つの何らかの混合を用いるのか

ヘッジ関係を指定して文書化する際に規定される方針は、企業のリスク管理の手続と目的に従ったもの でなければなりません。また、恣意的に方針の変更を行ってはなりません。方針の変更は、市場の状況又は他の要素の変化に基づくものでなければならず、企業のリスク管理の手続と目的を基礎としてそれらに整合したものでなければなりません(IAS39.AG119後段)。

4-13-6.ヘッジ手段の指定

<ヘッジ手段の特徴>

<複数の金利改定期間のヘッジ対象をヘッジするヘッジ手段>

ヘッジ手段が複数の金利改定期間についてヘッジ対象をヘッジしている場合には、 それがヘッジしているすべての金利改定期間に配分 されます。ただし、ヘッジ手段の全体を、それらの金利改定期間に配分しなければなりません。本基準は、ヘッジ手段の残存期間の一部分の期間についてヘッジ関係を指定することを認めていないからです(IAS39.AG120)。

4-13-7.指定リスクに起因するヘッジ対象の公正価値の変動とヘッジ手段の公正価値変動

<ヘッジの有効性の見込み>

<指定リスクに起因するヘッジ対象の公正価値変動>

<特定のリスクに起因する公正価値変動の算定>

<指定リスクに起因するヘッジ対象の公正価値変動額の算定方法>

IFRSでは、指定リスクに起因するヘッジ対象の公正価値変動額(すなわち、ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値の変動)を 算定するために用いる技法を特定しません 。統計的技法その他の見積技法をこのような測定に用いる場合には、経営者は、その結果が、ヘッジ対象を構成するすべての個々の資産又は負債の測定から得られたであろう結果と近似するものと予想していなければなりません。ヘッジ対象の公正価値の変動がヘッジ対象の価値の変動と等しいと仮定するのは、適切ではありません(IAS39.AG122)。

4-13-8.ヘッジの非有効性の処理

ヘッジ会計の概要 ヘッジ会計の概要
(a) 実際の金利改定日が予想と異なったこと、又は金利改定日の予想の見直し
(b)ヘッジ対象ポートフォリオの中の項目に、減損又は認識の中止が生じた
(c) ヘッジ対象とヘッジ対象とで支払日が異なっている。
(d) その他の原因(例えば、ヘッジ対象の一部についての金利が、ヘッジされる金利として指定されているベンチマーク金利を下回っていて、その結果として生じる非有効部分が、ポートフォリオ全体がヘッジ会計の要件を満たさなくなるほどには大きくない場合)

<ヘッジ有効性が高まる例>

ヘッジ会計の概要
(a) 期限前償還の特性が異なる項目を、期限前償還行動の相違を考慮に入れた方法で割り振った場合
(b)ポートフォリオの中の項目の件数を大きくした場合。ポートフォリオの中に少数の項目しか含まれていない場合には、その中の1つが予想より早く又は遅く期限前償還されると、比較的大きな非有効部分が生じやすい。逆に、ポートフォリオが多数の項目を含んでいる場合には、期限前償還行動をより正確に予想できる。
(c) 使用する金利改定期間の幅が狭い場合(例えば、3か月に対しての1か月)。金利改定期間を狭くすると、ヘッジ対象の金利改定日及び利払日(金利改定期間中の)と、ヘッジ手段の金利改定日及び利払日との不一致の影響が少なくなる。
(d) ヘッジ手段の金額をヘッジ対象の変動を反映するために調整する頻度を多くした場合(例えば、期限前償還の予想の変動のため)

<有効性の定期的な見直し>

ヘッジ会計の概要

ヘッジ会計の概要 ヘッジ会計の概要
(a) ヘッジ手段の公正価値の変動とヘッジされた金利の変動に起因するヘッジ対象全体の価値の変動(ヘッジされた金利の変動が、ヘッジ対象に組み込まれている期限前償還オプションに与える影響を含む)との差額として計算する。
(b)次の概算を用いる。この場合、企業は次のことを行う。
(i) ヘッジされた各金利改定期間における資産(又は負債)の比率を、有効性を判定した直近の日において予想した金利改定日に基づいて計算する。
(ii) この比率を、当該金利改定期間の金額の見直しに適用して、その修正額の見積りに基づいてヘッジ対象の金額を計算する。
(iii) ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の修正後の見積りの公正価値の変動を計算し、それを表示する。
(iv) 上記(iii)で算定した金額とヘッジ手段の公正価値の変動との差額と同額の、非有効部分を認識する。

4-13-9.ヘッジ対象の認識の中止

当初に金利改定期間に割り振られていた項目が、予想よりも早い期限前償還や減損による償却や売却によって、認識の中止の対象となることがあります。これが生じた場合には、IAS第39号に従って財政状態計算書に計上された独立科目に含まれていた公正価値変動の金額のうち、 認識の中止が行われた項目に関連する部分は、財政状態計算書から除去し、当該項目の認識の中止に関して生じた利得又は損失に含めなければなりません

【設例1】

4-13-10.キャッシュ・フロー・ヘッジからの移行

企業は、金利リスクのポートフォリオ・ヘッジの規定を、これまでIAS第39号に従ってキャッシュ・フロー・ヘッジとして会計処理してきたポートフォリオ・ヘッジに適用したいと考える場合もあると思われます。このような企業は、 それまでのキャッシュ・フロー・ヘッジの指定を一度取り消して、同項の規定を適用 し、 その後の会計期間に将来に向かって適用していきます(IAS39.AG132)。

【図解】非支配株主持分とは?初心者向けにわかりやすく解説

\簿記3級、2級が無料のCPAラーニング/

登川雄太
(管理人)

非支配株主持分を一言でいうと!

非支配株主持分とは

前提知識(連結と非支配株主)

まず、 理解の前提となる「連結」と「非支配株主」について説明 します。

  • 支配した会社を 「親会社」
  • 支配された会社を 「子会社」

企業集団の説明

連結財務諸表

1つポイントは、 「子会社化は、株式を100%取得しなくてもできる」 という点です。

例えば60%を取得し子会社とした場合、 残りの40%は親会社以外の株主 が保有していることになります。

この 親会社以外の株主を非支配株主 といいます。

非支配株主とは

非支配株主持分とは

非支配株主持分とは、文字通り、 非支配株主の持分 です。

ボブ(勉強中)

具体的には、会社の貸借対照表の 資本の額が、株主に帰属する金額(株主の取り分) です。

資本は株主に帰属

非支配株主の場合、 子会社の資本のうち、非支配株主割合 が非支配株主の取り分 になります。

非支配株主持分

よって、 非支配株主持分は、「子会社の資本×非支配株主比率」で計算できる のです。

  • S社(子会社)の資本金100、資本剰余金100,利益剰余金300
  • 親会社のS社に対する持分比率70%
  • 非支配株主持分は、子会社の資本のうち、非支配株主に帰属する額
  • 非支配株主持分=子会社の資本×非支配株主比率

非支配株主持分を表示する理由

そのため、連結貸借対照表においても、 親会社株主の持分と、非支配株主の持分を区別して表示しておく のです。

ボブ(勉強中)

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